NIPT(新型出生前検査)でわかる疾患

NIPTは、以下ような染色体異常をスクリーニングするために使用されます。

主な例
性染色体の異数性:
ダウン症候群(21番染色体トリソミー): 通常は21番染色体の3つのコピーがある状態
エドワーズ症候群(18番染色体トリソミー): 通常は18番染色体の3つのコピーがある状態
パトウ症候群(13番染色体トリソミー): 通常は13番染色体の3つのコピーがある状態

人間が持っている46本の染色体数の変化による先天性疾患の中で、頻度の高いのが「21番染色体トリソミー」、「18番染色体トリソミー」、「13番染色体トリソミー」で当院の中でも検査数が多いものになります。また、その他にも国内唯一ヒロクリニックでできる検査もありますので一緒に疾患例などを見ていきましょう。

NIPTでわかる疾患頻度

NIPTでわかる疾患頻度は、主にダウン症候群や他の染色体異常のリスクを調べる検査ですが、すべての異常を見つけることはできず、確定診断ではありません。 しかし、ダウン症などの染色体の数が変化する病気は、従来の検査に比べて特に高精度に検出できる検査になります。

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高齢出産が増えている日本で、今、注目を集めているのが「出生前診断」です。しかし、「どんな検査でいつからできるのかわからない」というのが本音でしょう。今日はその疑問を解消するための知識をお届けします。

妊娠15週目までの方はまだ間に合います。気になるNIPTの費用について

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NIPTの基礎から複雑な遺伝子の話

ここからすこし難しい話になるのですが、

人間の染色体は46本あり、常染色体(22本×2)と、性染色体(XY, XX)でそろっていることが普通です。ですが、染色体の数や形に変化が見られることがあります。例えば、21番染色体が2本であるはずが3本になるケース。これを21番トリソミー(ダウン症)と呼びます。

また、染色体の量に過不足が起きた場合。遺伝子の過不足が生じ、先天性の疾患や体質の原因(染色体疾患)につながります。これは赤ちゃんの成長に大きく影響します。

疾患というとダウン症以外はあまり耳にしたことがないかもしれません。メディアに取り上げられる機会が多くありませんが、みなさんが思うよりも性染色体の異常や遺伝子の一部がなくなっていたり、増えていたりする疾患(全常染色体全領域部分欠失・重複疾患)も多いのも事実です。代表的な疾患とその頻度を以下に挙げます。

順位 当院で検出できる代表的な疾患   特徴 最大頻度 最小頻度 当院 適用プラン
1 クラインフェルター症候群 XXY 性染色体 1/500 1/1000   N-Guard HMs, A, AM
N-Scan B, BM, G, GM, F, FM
N-Advance GM+, FM+
2 XXX症候群 XXX 性染色体 1/800 1/1000   N-Guard HMs, A, AM
N-Scan B, BM, G, GM, F, FM
N-Advance GM+, FM+
3 ダウン症候群 21番 トリソミー 1/1000 1/1000 1/135 全てのプラン
N-Guard, N-Scan, N-Advance
4 ターナー症候群 XO 性染色体 1/1000 1/2500   N-Guard HMs, A, AM
N-Scan B, BM, G, GM, F, FM
N-Advance GM+, FM+
5 ディ・ジョージ症候群 22番 微小欠失 1/2000 1/6000   N-Guard HM, HMs, OM, AM
N-Scan BM, GM, FM
N-Advance GM+, FM+
6 エドワーズ症候群 18番 トリソミー 1/3500 1/8500 1/214 N-Guard O, OM, A, AM
N-Scan B, BM, G, GM, F, FM
N-Advance GM+, FM+
7 1p36欠失症候群 1番 微小欠失 1/5000 1/10000   N-Guard AM
N-Scan BM, GM, FM
N-Advance GM+, FM+
8 パトウ症候群 13番 トリソミー 1/5000 1/12000 1/679 N-Guard O, OM, A, AM
N-Scan B, BM, G, GM, F, FM
N-Advance GM+, FM+
9 スミス・マギニス症候群 17番 微小欠失 1/15000 1/25000   N-Guard AM
N-Scan BM, GM, FM
N-Advance GM+, FM+
10 ウォルフヒルシュホーン症候群 4番 微小欠失 1/50000 1/96000   N-Guard AM
N-Scan BM, GM, FM
N-Advance GM+, FM+
当院で調べることができる代表的な疾患頻度(産婦人科医監修)

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当院で受診された32923人の受検者の内訳になります。(2023年4月現在)

  21番 18番 13番 性染色体 21,18,13番
性染色体以外
部分欠失
部分重複
疾患部位数 237人 149人 47人 134人 177人 125人
35歳以上 187人 120人 29人 77人 111人 69人
35歳未満 50人 29人 18人 57人 66人 56人
年齢間の倍率 374% 414% 161% 135% 168% 123%
当院32923人の受検者の内訳。

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当院ではすべての情報をデータベース管理しているため、これまでの3万以上のデータを集積し必要に応じて情報を提供できます。

21、18、13番染色体トリソミー

46本ある染色体数の変化による先天性疾患の中で、頻度の高いのが「21番染色体トリソミー」、「18番染色体トリソミー」、「13番染色体トリソミー」になります。
この3つの疾患の特徴は以下の通りです。

21番染色体トリソミー(ダウン症候群)

ダウン症候群

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21番染色体のコピー数が多いことが原因で起こり、ダウン症候群とも呼ばれます。遺伝子の問題で起こる知的障害としては最も多いのがダウン症で、その身体的特徴は「成長障害」「筋肉の緊張低下」「特徴的顔貌」などが挙げられます。
合併症では「甲状腺疾患」「耳鼻科疾患」「眼科的疾患」等で、中には先天性心疾患などで臓器にも障害を抱えることもあり、医学的に治療が必要となることもあります。平均IQは50と言われています。
その子どもの多くは、支援クラスを利用しながら地元の学校や特別支援学校に通います。スポーツ、芸術などのさまざまな分野で活躍することもあります。
寿命は50~60歳の方が多くみられます。
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18番染色体トリソミー(エドワーズ症候群)

エドワーズ症候群

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18番染色体のコピー数が多いことが原因で起こり、エドワーズ症候群とも呼ばれます。子宮内での発育不全が原因で、その多くは流産や死産となります。その身体的特徴は「胎児期からの成長障害」「呼吸障害・摂食障害」」などが挙げられます。
合併症では「心疾患(90%)」「消化管奇形」「口唇口蓋裂」「関節拘縮」などで、生きて産まれてもほとんどが脳や心臓その他に先天的欠損を複数抱えており、1歳未満で亡くなるケースが多いです。生存している子供たちは知的障害・発育障害という問題が発生します。
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13番染色体トリソミー(パトウ症候群)

パトウ症候群

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13番目の染色体の本数が3本になることで起こり、パトウ症候群とも呼ばれます。ほとんどの子供たちは脳やその他の臓器に先天的な欠損を抱えます。
その身体的特徴は「成長障害」「呼吸障害・摂食障害」などが挙げられます。
合併症では「口唇口蓋裂」「多指趾症」「眼の病気」「心疾患(80%)」「全前脳胞症」等で、脳や臓器に先天的な欠損を抱えます。
多くは流産や死産となり、生きて出産できても80%は生後1か月になる前に亡くなり。10%の子供でも1年未満で亡くなるケースが多い疾患になります。全ての13番染色体が3本でなく、一部混じっているモザイクという状態で出生した場合には、疾患の程度はやや軽くなることは知られています。
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性染色体の数の異常

性染色体の疾患は数の異常が多いといわれています。これは、染色体不分離によって生じます。

性染色体の異数体の症例をご紹介します。

クラインフェルター症候群

47,XXY、48,XXXY、46,XY / 47,XXY

クラインフェルター症候群

クラインフェルター症候群の特徴をみる

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出生頻度は、出生男児1000人に1人の頻度です。
クラインフェルター症候群では約半数が父親の染色体の不分離が原因といわれています。母親由来の不分離は、母親の出産時年齢が影響しています。
外見は男性であるため、幼い頃は気が付きません。第二次性徴の発達不良(体毛・筋組織の発達不良)、女性化傾向(乳房発達)、手足が大きく下肢が長い(長身)、睾丸が小さく無精子症(不妊症)などの症状があります。知能低下や生存上の障害はほとんどありませんが、Xの数が多いほど、知能低下を有する症例があります。
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ターナー症候群

45,X

ターナー症候群

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出生頻度は、出生女児2500人に1人の頻度です。
ターナー症候群は、母親の年齢依存性はありません。約8割が、モノソミー(X染色体が1つ)として存在します。X染色体は、母親由来であることがわかっており、父親由来が失われた場合が多いということになります。Xモノソミーは、自然流産が1割みられ、全妊娠のうち流産に至る場合が15%を占めます。自然流産と出生に至る個体との差が生じるのはなんであるかはまだわかっていません。

外見は、女性です。リンパ浮腫、外反肘や翼状頸、低身長、性成熟遅延、無月経などの症状があります。
bingによるターナー症候群の画像検索

XXX症候群

47,XXX

XXX症候群

XXX症候群の特徴をみる

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出生頻度は、出生女児1000人に1人の頻度です。
XXX症候群は、正常女性と同様に1つのX活性を持っているので、3つのXを持っていても2つは不活化(遺伝に関わる能力を持たない)のため、身体的な所見はありません。また、妊孕性もあります。
bingによるXXX症候群の画像検索

XYY症候群

47,XYY、48,XXYY

出生頻度は、出生男児1000人に1人の頻度です。
XYY症候群は、高身長のほかに身体的な所見はありません。
bingによるXYY症候群の画像検索

性別判定

胎児の性別は、父親の精子が持つ染色体で決まります。
そのため、性別は卵子に受精した時点で既に決まっており、受精した母親の卵子にY染色体を持つ精子が受精すれば男の子、X染色体を持つ精子が受精したら女の子になります。エコー検査では胎児の性別を、妊娠18~20週を過ぎた頃から判別できるのが一般的ですが、NIPTではエコー検査で妊娠が確認されたら判定することができます。

性別を調べるのに最も相応しいことはX連鎖劣性遺伝疾患を有する家系での検査です。胎児から見て祖父にX連鎖劣性遺伝が存在する場合に、その娘は通常キャリア(異常遺伝子を持っているが、症状はなし)です。その娘が妊娠したさいに性別判定を行うことによって、男児であれば50%の確率で同症が発症。女児であれば50%でキャリアになるということがわかります。もちろん残りの50%の男児と、50%の女児は遺伝的にも異常なしなので、今後その遺伝子が末裔に伝わることがありません。

男女、希望する性別に産み分けは可能?【医師監修】
妊娠すると、お腹の赤ちゃんの性別が気になる方も多いと思います。男女の産み分けができるとしたら、皆さんはどちらが良いなどの希望はありますか?女...

全常染色体全領域部分欠失疾患

(常染色体の一部の領域が欠けているか増えているかを調べる)

難しい言葉で染色体異常症と呼ばれますが、全常染色体全領域部分欠失疾患は小さすぎて通常の染色体検査では見つけ出すことが難しいとされています。そのため診断には特殊な検査で確認することが必要になってきます。厚生労働省から指定難病として認められています。

この検査はVeriSeqNIPT Solution V2を有している検査所のみ行うことができます。2021年6月12日現在日本国内で検査をできるのはこのVeriSeqNIPT Solution V2を有する東京衛生検査所と提携するヒロクリニックのみとなっています。この異常は当初検査を行う前には少ないであろうと考えていたのですが、10,000人弱の妊婦さんに検査を行ってみたところ約285人に一人異常を認めております。遺伝子の変化量(増加または減少)が疾患の重度に関係することは知られています。700万塩基以上の欠失・重複がある場合には通常のトリソミー・モノソミーほどの重症度はないにしても、何らかの疾患を有して出生する可能性が高いと考えられます。例えば1番トリソミー(モザイクなし)であれば生存はほぼ不能ですが、1番染色体の部分欠失・重複であれば生存は十分に考えられます。ヒロクリニックNIPTでは障害をもちながら、生存可能である可能性がある疾患であると考えております。

同検査所のシークエンサーは700万塩基以下の欠失・重複は検出できませんが、すべての常染色体領域の部分欠失・重複を調べることができます。

以下に代表的な欠失症候群を紹介します。(この症候群の全てを検出できるわけではありません。)

4種類の微小欠失症候群

1p36欠失症候群

1p36症候群

1p36欠失症候群の特徴をみる

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1p36欠失症候群とは、1番染色体短腕にあるとても小さな部位がないことが原因で発症する生まれつきの病気です。
特徴的な顔立ち、精神発達の遅れ、てんかん発作(けいれん、意識障害)などの特徴が現れます。また、生まれつき心臓に問題をかかえていることがあります。
bingによる1p36欠失症候群トリソミーの画像検索

4p欠失症候群(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)

4p欠失症候群は「ウォルフ・ヒルシュホーン症候群」と呼ばれ、4番染色体短腕にある部位がないことが原因で発症する生まれつきの病気です。
重度の精神発達の遅れ、成長障害、難治性てんかん、多発形態異常。
bingによる4p欠失症候群の画像検索

ウォルフ・ヒルシュホーン症候群とは?特徴や原因、症状【医師監修】
4番染色体短腕に位置する遺伝子群が失われることで引き起こされる疾患「4p欠失症候群」(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)。国の指定難病に認めら...

スミス・マギニス症候群(Smith-Magenis syndrome)

スミス・マギニス症候群(Smith-Magenis syndrome)は、身体の多くの部位に影響を及ぼす先天異常症候群の1つです。主な特徴としては、軽度から中等度の知的障害、言語能力の遅れ、特徴的な顔貌、睡眠障害、行動上の問題などがあります。各細胞の17番染色体の微小な欠失により、スミス・マギニス症候群が生じます。この欠失は、染色体の短い (p) アームの p11.2 と呼ばれる位置で発生します。
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NIPT論文(ねこなき症候群における高解像度マッピング)
ねこなき症候群の遺伝子型と表現型の関係を明らかにする高解像度マッピング研究。ヒロクリニックNIPTでの専門的な分析と解説。 ねこなき症候群...

22q11.2欠失症候群(ディ・ジョージ症候群)

ディジョージ症候群

ディジョージ症候群の特徴をみる

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「ディ・ジョージ症候群」と呼ばれ、22番染色体にあるとても小さな部位に位置する約30個の遺伝子がないことが原因で発症する生まれつきの病気です。
先天性心疾患、精神発達遅延、特徴的顔貌、免疫低下、口蓋裂・軟口蓋閉鎖不全、鼻声、低カルシウム血症。
bingによるディ・ジョージ症候群の画像検索

全染色体異数性検査

(数の異常を調べる)

ヒロクリニックNIPTでは21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー以外の染色体も含めた「全染色体」(1番~22番、X, Y染色体)検査が可能です。モザイクといって全ての細胞の染色体がトリソミーの場合には生存が厳しい例が多いのですが、モザイク症例は1番染色体から22番染色体まで全ての生存例が報告されています。妊婦の高齢化によってその比率は増加傾向にあります。ヒロクリニックNIPTではN-Scan Bプランを用意しており、この検査が含まれています。トリソミーだけでなくモノソミーも検出しております。
35歳以上の妊婦様に特におすすめしております。ベルギーなどの考え方が進んでいる国では一般的に行われている検査になります。